世界遺産ヴェネツィア展に行ってきました。
見るまではうーむって感じだったのですが、実際に見てみるととても見所が多く楽しめる内容でした。
結構な混雑ぶりもこの内容ならば納得です。
これはやはり博物館でやって大正解。
内容は絵画はもちろんですが、望遠鏡や硬貨、衣装から器、船の模型に至るまで多岐に渡ります。
全部取り上げるわけにはいかにので絵画を中心に取り上げてみたいと思います。
○ヤ−コポ・デ・バルバリ「1500年のヴェネツィア(ヴェネツィア景観図)」
これ圧巻でした。モノトーンで色はありませんが画面が大きく描き込みが細かく眺める楽しみに浸れます。
面白いのは風を吹かせてる神様の頭が描かれているところ。息吹が風になってるとは。
宗達の描いた風神雷神を見せたら当時の向こうのひとはどう思ったのでしょうね。
○ヴィットーレ・カルパッチョ「サン・マルコのライオン」
羽がカラフルでキレイ。天使やクピドの羽とかって白一色のイメージだからこの色は新鮮。
日本の霊獣みたいなもんでしょうか。実際のライオンとはちょっと位置づけが異なりますよね。
○アンドレア・ミキエッリ、通称ヴィチェンティーノ「レバントの海戦」
暗いトーンの中に浮かび上がるいくつもの直線。マストの線がやたらと多く画面を占めててとても密度が濃いのです。
雲間に見える天上の神々の世界が素敵。
○ジェンティーレ・ベッリーニ「総督ジョバンニ・モチェニーゴの肖像」
会場にはこの総督帽の実物が展示されていました。なんか馬の鞍みたい。
でも、この肖像画をみるとすごくしっくりとくる。
これが画力の力なんでしょうね。
○ミケーレ・ダマスキノス(?)(ティントレットの原作に基づく)「カナの婚礼」
なんとも明るい色調で見ててうきうきしてくる絵。
楽器の演奏、美味しそうな食事、外に広がる青空。
そしてテーブルの下にはワンコ。
今回、やたらと気になったのはやたらと犬が登場する絵の多いこと!
室内だろうがおかまいなし。そこに居るのが当たり前と言わんばかり。
当時の風俗的な背景があるのでしょうか。
○ヴィットーレ・カルパッチョ「二人の貴婦人」
今回の一番の目玉。批評家ジョン・ラスキンの言葉「世界でもっとも美しい居た絵」というコピーがなんとも素敵。
これは実物を見て納得しました。
きめの細かい画面は長い時間をかけて嘗め回すかのようにじっくりと見てしまう。
二人の美しい婦人、そして犬や鳥などの動物たち。
このすぐ横に映像が流れているのでこれは必見です。
というのもこの「二人の貴婦人」は上下に連なる板絵を分割されてしまった片割れだったのです。
この上部には続きがあって「潟(ラグーナ)での狩猟」という絵画。
(映像には登場しますがこの絵の実物は展示されていません)
なんと「二人の貴婦人」の左上部の花瓶から伸びる茎の先に、「潟(ラグーナ)での狩猟」の左下の百合の花に合致するのです。
しかし、何故1枚だったものを上下2つに分割したのか?理由は不明ですがなんとも数奇な運命をたどったこの美しき絵画へ想いを馳せてしまいます。
そしてこの後は素敵な絵画が続いていました。
○アントニオ・カノーヴァ「驚き」
キレイな女性なのですがバランスが妙!
特に頭の髪の描かれるべき部分が小さくておかしいはずなのに美しい。
まさに驚きなのです!
○ティントレットと彼の工房「天国」
下絵ですが大きく見ごたえがある内容。
ですが構成の確認用なので細部は細かく描かれていません。
ですがそのざっくりとした描写がむしろ荒々しくずっしりと響きます。
あと、シャンデリアは異様でした。
なんでしょうね、あれは。青とピンクを使った花モチーフなのだけどもどこかイソギンチャクや食虫植物のようなグロさも兼ね備えてて恐いくらい。
これはやたらとでかいこともあって特に印象に残りました。
絵葉書の袋もよいデザイン。
今週の日曜日12/11まで!急げ!