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村田朋泰|edge (GALLERY MoMo Ryogoku)

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4年ぶりくらいに両国のギャラリーモモに行ってきました。

村田朋泰さんの個展はなんと6年ぶりとのこと。

前回の個展が強烈に焼きついていて、また個展があれば必ず行こうと思ってたのです。

関連記事:村田朋泰展「2」(GALLERY MoMo Ryogoku)

会場に足を踏み入れるともふもふした感じのセットが広がっています。

洞窟みたいな穴が開いていて中にはキラキラとした鍾乳洞的なものが見えます。

今回の映像作品は「木ノ花ノ咲クヤ森」。

まずは先入観なしに見てみました。

オオカミの頭を持つ男の物語。

井戸のような露天掘りの土の中から三角のクリスタル状の物質を掘り起こす。

中には花が閉じ込められている。

彼はこれを回収して持ち帰る。

地上に出るとハンターが2人、追いかけてくる。

家は彼らに火を点けられて炎上している。

森を逃げる途中、へびのような生き物に先に回収したクリスタル状の物質の入った鞄を盗られてしまう。

すぐに取り返してまた森へ。

すると目の前に大きなヌシみたいな動物が現れる。

透明なその瞳の中にイメージが立ち現れる。

古えから近世へ、そして戦争を経て、ビルの建つ現代に。

その様子は能面をつけた人物の俯瞰したかのような視点で描かれる。

再び、森を進むとハンターに打たれ、オオカミの頭の男は片腕を失う。

ベールのような先に逃げ込み、花と出会う。

その中からもう一つのクリスタル状の物質が。

彼の持ってきたもうひとつとあわさり、中の花は消えてしまう。

写真機を構える人間の男。

写されるのは人間の女。

自然をバックに2人は緩やかな風に吹かれて幸せそうに佇んでいる。これで物語はおわる。

セリフはないのでなんとなくの感覚で捉えることになるのだけど、会場にはアーティストコメントの記載されたペーパーを頂戴出来る。

それをここで細かいは書かない。

印象として思ったのは軽い痛みと懐かしさ。

奇妙だけど柔らかく優しいイメージ。

ラストに取り戻した景色のもつ眩しさと懐かしさの輝きに胸を打たれた。

あとアニメーション的に面白いなと思ったのは基本はコマ撮りなのだけども、途中ヌシみたいな動物の瞳の中に現れるイメージの部分は手書きのアニメーションになっていて世界感の広がりを感じさせてくれる。

火と水と風の描写があるのだけど、火は紙のアニメーションで描かれるが、水は本物の水で描かれる。風はミニチュアのフォルムをいじることで表現されている。(と思う。)

この表現の差異も面白いなあと思いました。

会場奥のスペースには翁の舞うアニメーションも流れています。

手足の動きの溜めと払いが見事でコマ撮りのカクカクしたのとはまた違うスムースさでやはりいろいろな表現手法を持たれているなあと。

次回の個展が何年先になるのかは分かりませんが必ず行きたいと思いました。


こちらはDM。このオオカミの頭がよく見ると怖いのだけど動きがつくとそうは見えないんですよね。

5/30まで。

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