
山種美術館で開催中の「和のよそおい」を見てきました。
このチラシの上村松園の絵で期待しちゃいます。
★鏑木清方「伽羅」
描かれる着物の女性の曲線が綺麗。
これにつきますね。
あと、顔のバランスが小さいのでよく見えるのかあと。
★輪踊り図
作者不詳ですがとても味のある絵です。
輪になって踊るひとたちのフォルムが独特。
そして、着物の稜線の金色がいやらしくない。とてもしっとりとしてさりげないのです。
★松岡映丘「斎宮の女御」
画面上方の山々は鮮やかな緑なのですが、画面の下部に描かれる女御はモノトーン。ところが唇だけに紅を入れてるのが素敵。

★小林古径「河風」
まず目をひくのが女性のくっきりとして特徴の容姿。派手めで印象的。
そして、川涼みを楽しむ足の浸かる水面の描写が派手さはないもののなんとも冷んやりと気持ちよさそう。
★菱田春草「桜花美人図」
一見したところ、浮世絵のまんまに見えるのですが違うのです。
よくみると着物の稜線の流れるような筆の運びはやはり木版の線とは違い生き生きとしています。
そして、描かれる女性の表情が素敵。特に目がよいのです。
角ばった桜の白い花は特徴があって面白い描写。
★伊勢物語(合作)
荻生天泉 第4段「月やあらぬ」
吉村忠夫 第23段「筒井筒」
松岡映丘 第23段「筒井筒」
吉村忠夫の描いた幼馴染のおとこのこおんなのこがなんともかわいい。
その後、成人して夫婦となったものの、おとこはほかの女のもとに通い、妻はひたすらに待つ。
松岡映丘の描くおとこがなんとも情けなくてよい。
家を出たふりをして、妻の様子を伺うシーンはおとこがかっこわるくなくてはならないのだ。
★守屋多々志「聴花(式子内親王)」
桜の花は満開なのになんとも悲しそう。
ピンクの上に銀というかグレーを載せてて異様な出立。
解説を読んで納得。
式子内親王は薄幸な生涯だったそう。
読んだ和歌からもうかがえますね。
「はかなくて 過ぎにし方を かぞふれば 花に物思う 春ぞへにける」
★‹橋本明治「月庭」
切り絵かのような太い黒線と静かなブルートーンが印象的。
★伊東深水「春」
やはり何度みても好きな絵です。
女性二人が耳打ちしてる。付けまつ毛ぱっちり、手前の女性はパーマ。
着物だけど明らかに現代のデザインなのだけど妙にしっくりとくる。
そして、後半は上村松園オンパレード!なんと18点も。
★上村松園「詠哥」
構図バッチリ。見返る顔と反対に伸びた短冊と筆を持つ手と。

★上村松園「娘」
針の穴に糸を通そうとしてる。
その手が丸っこくてなんとも可愛らしい。

★上村松園「庭の雪」
雪はちいさな綿帽子がたったの五つ。
袖の中から覗く手が美しい。
襟にかかるのは、油取り。
江戸後期に上方の少女の間だけで行われた風習なのだそう。

★上村松園「雪牡丹」
大胆な余白の美学。
それも松園のような人物のクオリティだと最強です。
やはり山種美術館は所蔵品の出し方が上手いと思います。
こういった展覧会を継続してみていると同じ絵が別のタイミングで出てきて理解がより深くなるように思います。
もちろんそれだけの質と数を持っているからこそ可能なことなのですが。
3/25まで。