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鈴木其一|江戸琳派の旗手(サントリー美術館)

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鈴木其一|江戸琳派の旗手 に行ってきました。

会期終了を明日に控え、ぎりぎりで行ってこれました。いや、これはやはり行かねばの内容でしたよ。

気になった作品について書いてみました。冒頭の番号はリストのNoとなります。


34「抱一上人像」
円窓に抱一。表装に描かれたすすきといいセンスがよい。

23「蓮に蛙図」
たらしこみの色合いと蛙のグリーンの対比が素敵。

31「吉原大門図」
まず色使いがキレイ。バラエティに富んだ人物たちの描写が楽しい。
酔っぱらい、花魁、禿、盲目の杖のひと。

42「夏秋渓流図屏風」
エネルギーに満ち満ちた画面。川のブルーの塗りに金色のラインが鮮烈。緑の葉の縁の金も品のある使い方でよい。
背景が金なのはまあよくあるのでけど、地面が金というのはあまり見ないような気がします。川にぶつかる地面が切れたところの断面は茶色!なんとここからが岩になるとは! 左隻に描かれた赤く色づいた葉が上から3つ。コマ割りされたアニメーションかのよう。揺れて水に落ちる様を連続で見ているよう。

44「風神雷神図襖」
宗達、光琳の描いたのに比べるとかなり横長の構成。襖だからこうなったのだろう。
薄墨で描かれた雲に妙な気配が宿っており画面に奥行きが付加されている。風神雷神のキャラが強いところにこういう仕掛けを施すとは!

46「松島図小襖」
その名のとおり小さな襖なのだけども絵としての密度が高いこと。
波頭の生き物のようなうねり、怪しげな雰囲気をたたえた波の渦。中央に描かれた緑のは島というよりもなにか別のオブジェクトに見えてしまう。
目を襖の位置に落として近付いて凝視しました。ああ、眼福なり。

45「松に波濤図屏風」
これ最初見て、いまひとつだと思ってみてたら印象がどんどん変わってきた。波頭のヒョロヒョロしたラインが力なくダブって2重に見えてると思ってたのが動きのブレを意図して描いたんじゃないかと思えた途端にすごい絵に見えてきました。

185「月に秋草図」
左下から伸びて画面に入る。描表装が進入してくる。こういう構成ってあまりないのでは?

128「桜図扇」松本交山
たらしこみ、金、水色、桜のピンク。色彩の映えること。

127「楓図扇」松本交山
ブルーにグリーン。こういう配色、日本画で見たことがない。鮮烈、素敵!

126「向日葵図扇」松本交山
向日葵のバックはなんと赤!夏の暑さが頭に浮かびます。

130「十二ヶ月図扇」
12枚、花鳥でいくかと思ってたらもっと面白い構成ににやり。鐘馗と鬼が出て来てびっくり。
モノトーンの千鳥が雪の中飛んでくシーンの趣きのあることよ。

134「笠子に河豚図扇面」
ひっくり返って膨れたお腹をむけるふぐのかわいいこと。其一ってこういう笑いをとりにいくような画題は少ないので驚きました。

175「鐘馗・神功皇后・武内宿禰」
三幅対なのだけども中央の鐘馗のみ縦の長さが短くなっているという珍しい構成。
神功皇后・武内宿禰はそれぞれ背後に波が描かれており、離れているがつながっているかのよう。

87「白椿に楽茶碗花鋏図」
黒の楽茶碗、白椿、それに鉄の鋏。
どれも地味だけどシンプルで必要十分な感じ。鋏の持ち手の終端の先っぽがシュッと窄まった様にしびれます。

86「雪中檜図」
雪がまっすぐに下に落下するのが直線で描かれていて面白い。
その他に雪の塊が落下するのも描かれていて胡粉の白が散らされている。

67「朝顔図屏風」
まずその大きさに圧倒されます。くらくらする。どれだけ見続けても解決に至らない感がずっと持続してる。なんだろうこれは?
目が釘付けとなって位置を変えて何度も見直す。どうしても光琳の燕子花を頭に思いうかべるのだけどまるで構造は異なる。燕子花は平面の並びで見れるが朝顔がこれにねじれが加わるような感じ。じっくりと時間をかけて堪能しました。

95「大江山酒呑童子図」
画面がきらびやか。でも実はある部分に釘付け。酒呑童子の下に敷かれている虎の毛皮。しっぽもかわいいのだが閉じたお目目がかわいい♡

109「山並図小襖」
波のフォルムだけど山の色で描かれたのが意外にもすんなりとはまって気持ちいい画面。
こういうのが展示のラストにくる構成もよいなあと。上品なデザートみたい。


とまあ取り留めもなく思うところ個別に書いてみました。

内容は満足なのですが会期によっての展示替えの多さはやっぱりいつもながらでリストが見にくいなあと。

4階の第2章での展示ケースの中に並んだ小さな冊子などのコーナーは混んでたが頑張ってじっくりと見たが甲斐がありました。其一直筆の書状が何点かあったのだけどその文中に図とデザインみたいなのがあるのは面白いなあと。

導線で気になったのは3階入ってすぐの巻物。右から行きたいのだけども入口から近いのは左なので逆から見てく人がほとんど。

あと、ファインバーグ・コレクション所蔵は特によいなあと。松島図小襖、大江山酒呑童子図、山並図小襖。どれも上質で次いつ見られるかと思うとせつないですね。

朝顔もまあメトロポリンタンがなわけで。というわけでじっくり眼に焼き付けてきました。

明日10/31まで。

鈴木其一―琳派を超えた異才 (ToBi selection)クリエーター情報なし東京美術
江戸琳派の美: 抱一・其一とその系脈 (別冊太陽 日本のこころ 244)クリエーター情報なし平凡社

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