
無人島プロダクションで開催中の田口行弘 展 「Makeover」に行ってきました。
会場に入るなり、あれ?
これまでの無人島プロダクションの会場構成を覆ててびっくり。
これまでの事務や倉庫にあててたスペースを全て展示に使ってて、大分印象が異なります。
大きな壁にはでっかい地図。
森美術館での展示以降、田口さんが行った地点が赤いテープで結ばれてる。
東京、拠点のベルリン、モルジブ、バハマなど多数。ほんとうによく動きまくってる。
会場の中央に道標があり2011〜2013の制作年別と制作された地名が記されている。
まずは2013年から。
床に置かれたモニターには今回の展示スペース替え自体をコマ撮りで記録した映像「Makeover」から。
これは壮観でした。たくさんの荷物とレイアウトの変更。
一見、定点カメラなんだけどちゃんとポイントとなる箇所で動かしててリズムが出来てて気持ちいい。
「Collaboration works」
同じ無人島プロダクションの作家とのコラボ。
加藤翼さんとのコラボは笑った。無人島のシャッターを開けるところからスタートして、ラストもシャッターを閉めておしまい。
臼井良平さんとのコラボはペットボトルのコマ撮り。ペットボトルの中にひとつだけガラスで作ったのが入ってて見分けがつかない。
臼井さんと田口さんのトーンそれぞれがうまく混じってる。
そして 松田修さんとのトマソン的な二人ぶらぶら路上観察。正直あまり期待していませんでした。が、路地に落ちたものに介入するアプローチが楽しい!
ホースに絶対に出会うことのなかったものがぴったりささる偶然の面白さ。
「discovery」
ベルリンで廃材を使って自分の家を作ってる映像。コマ撮りの作品って労力は並大抵のことではないだろう。
田口さんてバイタリティの塊なんだなあと再認識。
続いては左の部屋。
「RAUM 1-2-3」
意外にも通常の動画部分のパートが多い。コマ撮りでないギミックの効かない映像で作っているのだけどやはり田口さんの作品だなあという印象が残る。
何もない部屋にひとつづつ出現するモノたち。出現しては倒れ位置が決まる。
線と色とが画面を埋めてく連続。
あとこの映像には田口さん自身が登場しているのもポイント。
これまでのモノに生命を吹き込んで動かすというスタンスから自らも登場させて作品として見せるという変化。
部屋が暗くなるまではしごと椅子とで動きを作ってる様が面白いし本人の楽しさが伝わってくる。
かと思うと消化器の影にペイント。その茶色がコーヒーに続くなんてシークエンスは気持ちいい。
「Discount」
なんと初となる人物を使ったコマ撮り。ダンサーの女性がメイン。モノでも主体を決めて制作されたものはあったけど、やはり人物を中心に持ってくると存在感のウェイトがまるで違う。
面白いのだけどもっと無茶してもきっと成り立つのかなあとも思ってみたりした。今後の展開に期待。
「Playing ball」
ホワイトキューブの部屋でただひたすらに黒ペイントをつけた球を投げつける。
ふとアクションペインティングなんて白髪一雄なことばが頭をよぎった。いや言葉じりだけど意味的には違うんだけども。
あとモルディブやハバナの映像は音楽が気持ちよく現地の雰囲気が伝わってくる。マンホールにペイントして布に転写してたりするのだけど出来上がりがどれもかっこいい。
色とバランスの配分を決めるスピードとセンス。現場でさくっと(だと思うのだけども)出来ちゃうのがすごいなあ。
あと全体として思うのは田口さんの作品は廃材なんかが多かったりもするのだけども、映像としてキレイだし何よりもその匂いが伝わることがないので清潔感があるように感じる。いやむしろスタイリッシュ。

さて、会場では↑こんなTシャツも販売されています。
真ん中の絵柄のは以前に 森美術館で買った版画の図版だったので嬉しいですね〜。
久々にギャラリーでじっくりと展示を見られて満足!
田口さんの作品は見てて元気が出てきますね。
9/14まで。
会期:2013年8月17日(土)―2013年9月14日(土)
会場:無人島プロダクション
火〜金|12:00-20:00、土〜日|11:00-19:00
月・祝日休廊
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