
そごう美術館で4/20からスタートした山口晃展「付(つけた)り澱(おり)エンナーレ 老若男女ご覧あれ」を見に行ってきました。
なんとこのブログでアート系カテゴリの記事を書くのがおよそ三ヶ月ぶり。
果たして上手く書けるかどうか、、、でも、やはり書きたいので書くってことで。
まず冒頭のコーナーで一番好きだなあと思ったのが「厩圖」。
他の油彩も描かれた部分部分を眺めるのも楽しいのですが、サイズが大きく見栄えがよいのです。
タイトルのとおり、厩(うまや)。
山口さんの絵に出てくる馬バイクたちもいいのですが見所は雲と松。
雲のフォルムは室町、江戸に描かれた屏風のものとは違っててかつ色の使い方が憎いこと!
大半は白く描かれているものの周辺の部分に乗せた薄いピンク、青、緑がなんとも品があって美しい。
そして手前の松。
メカの入った枝の妙、葉の描き出すカーブのフォルム。やはり山口さんの線の重なりって独特なのだなあと。
さて、今回の展示では挿絵が多数展示されており、想定していたよりも多い点数の作品が見られて満足でした。
まずは澁澤 龍彦 作「菊燈台」挿画から。

小品ながらも粒ぞろいで、山口さんには珍しく裸体描写が多くセクシャリティを感じさせるものが多く見られました。
挿画なのだけどもモノクロではなくカラーでしかも一点一点が独立した絵として楽しめる。
水だか気?だかわからないけれどもあふれる流体みたいな描写には魅せられます。
あと右腕の取れた描写がメカ。ギニョール的な気持悪さにも通じてる感があるなあと、
画面を見てて粗から密への動きがあるなあとも。
素晴らしいなと思ったのは人魚の描写。
普通、人魚っていうと下半身がお魚のが一般的ですが、山口さんの描いた人魚は脚が二本!なのにかかとからつま先の辺りがくっついててひれになっているというもの。
人魚だけどもちゃんと色気が出てるんだもの。素敵でした。
お伊勢参りの舟の朱と木々の緑と雲の黄色。このバランスって気持いい。
五木寛之 作「親鸞」挿画もバリエーションの豊かなこと。
サイズはハガキ、もしくははがき大くらい。試行錯誤している様が伝わってきます。
シンプルかと思いきやむしろ多様な展開。
腕から波の出てくるイメージには目が釘付けになりますね。
また、落ちる日の○の軌跡も印象的。
かと思えばお堂で堂々巡りをやってるのなんかはとってもお茶目。
女性の髪で目を絡めとられているあの線にはぞくぞくします。
「結婚しました」ハガキには笑ってしまいつつもほっこり感が少しだけ上回ってる。
そして電柱関連の作品を通るとカウンターが。
↓こんなパンフを頂きました。

というわけで2013山愚痴屋澱エンナーレ。冊子(てか3つ折りだけど)は嬉しいのだけどもリストのほうが欲しかったりする。
ここで出てくる映像なんかはまあ嫌いではないけども以前にも見てるので正直、絵ほどの吸引力はない。
あと、これはほんと好み的なことだけども。
今回の中だと映像でオーロラがいいなあと。見てて???となっててだんだんやってることがわかる感とお金のかからないことでああと思わせてくれるなあと。
以前にエルメスで見た「Tokio山水(東京圖2012)」に再会。
ああ、だいぶ出来たけどもまだまだ完成には時間を要しそう。
黒雲の不穏な感じが油絵の具(なのか?)。ベタっと生々しい感じ。
続いて五木寛之 作「親鸞 激動篇」挿画。
こちらはカラーも。
二度目だからでしょうか?どこかリラックスしてるかのような余裕も。
以前は紙のサイズがまちまちでしたがこちらはフォーマットがきっちりとしていますね。ギミックの凝ったものが減って茶目っ気が以前よりも出てるかのよう。
炎が燃えるモノトーンやかっこよし。
なんと雷神さま登場。
点数の多いカットをどう飽きずに魅せるかということでバランス(いや、案配かな?)がとてもよいなあと。
ラストはドナルド・キーン 作「私と20世紀のクロニクル」挿画。

挿画ってなってるけどももうこれだけで立派によみものですね。
情報量が多いし、四コマ漫画まで入っている。
なのに絵としてはかなり細かく繊細。
ボリューム満点でお腹いっぱいという感じの展示でした。
メカごころ「落書き帖」に書かれていた以下の一節が頭に残っています。
「山水草木にメカを見る 此れすなはちメカごころ 晃」
なぜこうなるのかはずっと謎だけどもやっぱり好きなんですよね、このやりくち。
久々のアート記事、書けてよかった〜。
山口晃展「付り澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ」は5/19まで。
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