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くらべる。つながる石橋コレクション ブリヂストン美術館開館60周年を祝う1(石橋美術館)

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「くらべる。つながる石橋コレクション ブリヂストン美術館60周年を祝う1」に行ってきました。

所用ありて九州に訪れてたのでこれは行くしかないなあと。

ここは以前に三回くらい来ていますが居心地のよい場所で気に入っています。

今回の展覧会は作品2点を一組として、くらべるキーワードを設定。

くらべるキーワードは「水への反映」「静物」「海」など。

キーワードの共通する二点をならべて見るという趣向、なかなかに楽しめました。

冒頭の画像はリーフレット!

なんとカラーで中には図版も掲載されています。しかも、作品リストのみならず作家の略歴まで掲載されているというなんとも充実の内容。

なお、タイトルの前にくらべるキーワードを書いておきました。本来、このキーワードで組まれた作品は2点ペアですが対象となる作品1点のみで書いてるケースがほとんどです。ご了解ください。


くらべるキーワード<桜>
・古今和歌集巻一断簡 高野切
・安井曾太郎 「桜」

この和歌と油彩を並べるという趣向は素敵。さすが、石橋さんです。

絵画のみならずコレクションの範疇の広いこと。今回、改めて思い知りました。


くらべるキーワード<ざくろ>
・北川民次「さくろを持つ女」
この女性の衣の皺とポーズが仏さまを早期させてくれる。

でも南米ちっくな色彩と雰囲気なのです。


くらべるキーワード<群像>
・ジャン=バティスト・パテル「水浴」
画面の周辺で絡む男女がなんとなくほほえましい。

・古賀春江「海水浴の女」
キュビズム的フォルム。でも色のトーンは明らかにこの作家のもの。


くらべるキーワード<女性たち>
・ゲオルゲ・グロッス「プロムナード」

ちょっと妙な艶のあるタッチでなまめかしさはあるのだけどもじっと見ててその構成のおかしさに気づいてしまった。

人物の横向きの顔はまあ普通。

ところが視線を画面下にもってくとものすごく気持ちの悪いことに。

足元のあたりの向きと距離感がなんともちぐはぐ。ここだけ見てると平衡感覚がおかしくなりました。


くらべるキーワード<酒>
・松田諦晶「コンポジション」
海女が裸で酒を飲んで何人も横たわっている。

この肉肉した裸婦が強烈でした。

で、このタイトルもインパクト十分。


くらべるキーワード<三人>
・坂本繁二郎「肉弾三勇士」
これ、異色でした。兵隊と思しき男性が3人で丸太もしくはミサイルみたいなのを持って走ってく。

戦争モチーフだけども戦争画ともちょっとずれたイメージ。そもそもこれが描かれたのは1935年。太平洋戦争よりも前のこと。

なぜ、これを描いたのか気になるところ。


くらべるキーワード<男性の頭部>
・青木繁「顔」
顔がしっかりと描かれているのにそれを台無しにしちゃうかのように上から色鉛筆で線ひいちゃってる。

なんか強烈で残りました。


くらべるキーワード<横顔>
・オディロン・ルドン「耳の細胞」(マルティ版『レスタンプ・オリジナル』第2号所収)

この濃い黒が「魔」をかんじさせますね。何かやばいものだぞというエッセンスが込められてる。


くらべるキーワード<オマージュ>
・レンブラント・ファン・レイン「聖母の死」

画面の下のほうはこれでもかと細密にきちんとしたトーンで描かれている。うん、これでこそレンブラント、見事。なんて尾もtt画面をじっくりとみてくと脱力。。。。

あれれ?こんなだっけ?

上部に粋にしたがって描写がどんどんヘロヘロに。。。

参りました!!降参です。こんなにお茶目だったとは。


くらべるキーワード<複数の視点>
・小磯良平「二人」
自分の中では油彩のイメージだったのですが、このリトグラフもよかったです。

向かい合う二人の人物。左の少女の見返りが印象的。


くらべるキーワード<同一作家>
・アルベルト・ジャコメッティ「ディエゴの胸像」
胸像なのだけども顔がものすごく横に狭い。パッと見で圧倒的なオリジナリティ。

・アルベルト・ジャコメッティ「歩く人」
このぎりぎりのソリッドな表現。

ざっくりと描かれた横向きのひと。このそぎ落としというか抽出したエッセンスが見事。


くらべるキーワード<地平線>
・松本英一郎「退屈な風景 茶畑」

水色の青空。グラデーションのかかった緑に茶色のライン。

昔だったらあまり好きにならなかったであろう作品。

この視点、今ならかなり好きですね。


くらべるキーワード<黒>
・坂本繁二郎「牛」

今回は繁二郎のあのパステルみいな淡い色彩のが何点も展示されているのですが、これはまるでトーンが違う!

グレーを基調としているのですがよくみるとところどころに赤が少しだけ出てるのですい。

普段イメージする作風と違うのでとても強烈な印象が残りました。


くらべるキーワード<筆の力>
・ザオ・ウーキー「10.06.75」

やはりこの作家の作品にはかなりの確立でいいなと思う。

やはり筆致の激しさが心を打つ。

ナニモノでもないはずんの抽象なのだけどもここまで情感を突き動かされるのは何だろう。


くらべるキーワード<物語>
・カルロス・シュヴァーベ「受胎告知」(マルティ版『レスタンプ・オリジナル』第3号所収)

マリアと向き合う天使の羽が伸びててマリアの全身を覆っているかのよう。


くらべるキーワード<木>
・パブロ・ピカソ「生木と枯木のある風景」

画面左に2本並ぶ木が何かを語りかけてくるかのよう。

なんかひとみたいな妙な存在感があるのです。この生っぽさが気持ち悪いなと思いつつもついつい目がいってしまう。


くらべるキーワード<風>
・前田青邨「風神雷神」

風神雷神と言えばやはり横の画面のイメージですが、こちらは縦のフレーム。

風神は後ろ向いちゃってて顔は見えない。

この雷神がなんともやんちゃな感じでかわいらしい。

あと背景の墨のにじみが面白い。


くらべるキーワード<赤と緑>
・有田焼 色絵花鳥文瓶
・アンリ・マティス「両腕を上げたオダリスク」

このくらべるの対比もすごいなあと。

有田焼とマティスで「赤と緑」とは恐れ入りました。



70の「くらべるキーワード」でペアになった140点は見ごたえあり。

その半分はいつもだったら石橋美術館では見ることの出来ない、ブリヂストン美術館所蔵の作品。

6/24まで。

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