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京都 細見美術館展 Part1 都の遊び・王朝の美 −美を愛でる、京を知る−(そごう美術館)

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京都 細見美術館展 Part1 都の遊び・王朝の美 −美を愛でる、京を知る−へ行ってきました。

そごう美術館は夜8時まで開いているのはとても助かります。

五月に開催されるPart2とのセット券が1400円だったので早速購入。

19時過ぎに入ったもののひとはまばら。ああ、なんてもったいない。


■ 王朝の雅ー和歌と物語ー

○時代不同歌合戦絵巻断簡

なんと鎌倉末期の断簡。画面の左右に白描の十二単の女流歌人が配されている。

この白描のモノトーンのがよい感じ。鎌倉のものなのに状態がよいのに驚きます。


○蝶模様蒔絵鼓胴

このデフォルメされた蝶の顔がなんともかわいい。しかも、デザインとしてパターンで貼り付けてる。

そうそう、今回は平面だけでなくこうした蒔絵だとか工芸ものの展示もあるのです。


○「月梅下絵和歌書扇面」本阿弥光悦 書 俵屋宗達 下絵

この光悦、宗達コンビのは4点ありましたがこれが一番好きですね。

でっかく描かれた銀の月はむしろその劣化によって実際の月の表面の感じに似てきてる。

そして、歌がよい。


雲れかし
かなむる
からに
悲し
きは

つきに
おほゆる
人の
おもかけ

(※実際には縦書き)

八条院高倉 新古今和歌集 巻第十四 恋歌四

月か愛おしいひとの顔に見えちゃうんですよね。

あんまり歌とかは詳しくないのですがこれはすごくストレートに響きました。


○初音蒔絵箪笥

今回、展示の蒔絵ではこれが最強ではないかと思います。

約1ミリ(くらいだと思う)角の金箔を張り詰めた構成、屋根の部分の更に細い線の連続。

これでもかと突き詰めて制作されてるのが分かります。


○「清少納言 香炉峰雪図」―鈴木守一

雪の降るなか、建物の中御簾の向こうに見える鮮やかな着物の色彩。

この緑の御簾の上のところのグラデーションの処理が現実の景色としては繋がらないはずが見事に続いてる。

建物の直線の面のエッジの出てる部分もつよくて、雪の降り積む枝との対比もお見事。



■ 都の四季ー遊びと飾りー

○四条河原図

これがよいなあと思ったのは作品の状態がよいこと。この会場にしてはちゃんと照明が当たっていたこと。そして、ガラスから作品までの距離が近いこと。この三点が非常に大きいです。

遊女歌舞伎「松風村雨」のところではお客の男が何やら白い四角い紙を舞台の中のスタッフと思しき男性に渡してる。演じる遊女へのファンレター?それとも恋文か?

衝撃的だったのはアシカの見せ物。いや、そういうものがあることは想定内。問題は描かれたアシカ。なんか、怪獣みたい。当時は珍しい生き物だったろうから細部がかなりいい加減。センガイさんが描いたアザラシを思い出しましたよ。

ともかく、バラエティに富んでて見てて楽しい絵巻です。


○加茂社競馬図屏風

解説に古画の影響云々というくだりがありましたが、とにかく人物の描写に特徴があるなあと思いました。

なんかずんぐりむっくりしてて、着物の線が明瞭で曲がってるなあと。

あと、人物がすごく生き生きしてて元気が出ます。


○八角水指

伊達家に伝来したとのキャプションを見て納得。イスラエルの幾何学模様と中国的意匠のリミックス!七宝の緑が支配する。

解説なしでこのものだけ見たらとても江戸のものとは分からない自信ありです。


○「蝶々踊図屏風」小沢華獄

人物たちの踊る姿が流れるかのよう。

ところが、衣装が素敵なことに。
揃いの装束で決めてるひとたちはバッチリでかっこいい。

ですが、動物のコスプレがすごい!犬やなんかは想定内。まあ、大根もおかしいがよしとしよう。

でもカタツムリってなんだ!

なめくしかとおもったらしっぽみたくなったそのさきの小さい殻が。

あとしゃもじを背中に放射状に取り付けて、虎のパンツの雷神さまもいましたよ。

先日も国吉展の中の狐のコスプレを見て、動物のかっこすると現代とあまりかわらないなあというのと一緒。親しみを感じちゃいますね。


○「掛蓬莱図」鈴木基一

鶴のセンス、伊勢海老、干し柿などなどのお正月飾り的なもの。

この海老の艶やかなテカりのある描写がどうやってるのか気になりました。


○「立雛図」酒井抱一

雛人形と犬筥の流し目の表情がいい。

そして、さすがは抱一です。書かれてる文字が上手い。

で、その文字の書かれてる四角の中にはなんとちょうちょとツバメが描かれててさすがだなあと。発見すると嬉しくなりますね。


■ 京の絵師ー若冲から雪佳までー

○「萬歳図」伊藤若冲

ひとりは鼓を鳴らし、もうひとりはその相方?芸人か何かだろうか?

最初気づいてなかったところに後で気付いてびっくり。

人物の目が横に引いた線のみだと思ってたら中に濃い黒で点が!

このことに気づくと表情まるでが違う!

たんに緩く笑ってるのではないのですよ。

更に気がついたのが濃い黒の使い方。全体的には黒というよりも灰色の水墨で描かれてるので濃い黒はやはり目立ちます。

ちょんまげと草履にこの黒は使われてて人物のてっぺんと足元に配してあるのが意図的だなあと。

おそらく着物に描かれている筋目書きのもようを見せるのとかち合わないようにそうしてるのではないかなあと。

あと、草履のほうは主に紐のところはスピードもあって緊張感が感じられるのです。

人物は一見、柔らかくみえますがなかなかどうして、真剣に取組む空気というのが見事に描写されています。

若冲、さすがだなあと実感しましたよ。


○「蓬莱山図」神坂雪佳

後述する流水図との比較のために書いておきます。正直、蓬莱山自体の描写には特筆すべきところはないのですが、問題は海面の波の描写。

線で描いた波が交わるポイントの決め方がちょっと尋常ではない感じ。ちょっと螺旋じみてるというかとにかくおかしい描写なので確認してみてください。


○「色紙貼付屏風」神坂雪佳

六曲一双で12枚のバランスが面白い。人物は比較的かっちりと描かれており、これに対して風景はほわーんと描かれている。

右から二つ目の梅の枝の無茶なカーブと太さはもう現実ばなれしてて可笑しいのだけど見ててほっこりしてしまう。


○「梅竹図・流水図扇面」神坂雪佳

ラストにまたとんでもないのが控えてました。

梅竹図のほうはごくノーマル。銀バックに扇のカーブに合わせてしなやかな曲線を描く梅の枝が美しい。

流水図のほうは銀バックは一緒。描かれているのは水色の線で描かれた流水。この線のカーブとバランスが妙。しかも、銀と水色のみで何かの模様のよう。ここまでシンプルにしちゃえる割り切りがすごいなあと。


とまあ、書いてみたら結構なボリュームとなりました。

このPart1は3/20まで。

Part2は5/26〜7/16までの開催予定となります。


入館料は1000円ですがPart1とPart2を見られるセット券だと1400円でお得ですよ!是非とも!!

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