没後150年歌川国芳展の後期展示、実は今日で2回目です。
さすがに混雑していますがやはりそれだけの価値はありました。
やはり、国芳は楽しい!これに尽きますね。
第1章 武者絵
★加賀屋版武者絵シリーズ「蝦蟇仙人」
蝦蟇千人が肘をのっけてる蝦蟇の瞳が真ん丸の黒目でかわいい!
でも同じ画面に描かれている他の蝦蟇はそうは描かれていないのです。
★「美盾八競 神崎秋月」樋口次郎兼光
切れたロープ、その先の巨大な錨。樋口次郎兼光を掴んでいたひとたちはバランスを失ってしまう。
このずっこける人たちの表情が面白い。あと、向かって右のこちらにお尻を突き出してポーズしてるのが妙におかしい。
かっこいいとおもしろいを同時にやっててなんだか劇団新感線の舞台が頭をよぎった。
第2章 説話
★「二十四孝童子鑑 大舜」
白い象が2頭。前からと後ろからと。
ただただそのフォルムの威容。鼻の皺とか妙で実際には見てないで描いたのかなあと。
第3章 役者絵
★三代目尾上栄三郎のしづか御ぜん・下り二代目尾上多見蔵の百姓きよろ作と源九郎狐
なんと狐の着ぐるみ登場!!
ちょんまげのひとたちだと遥かに昔の遠いイメージなのが、あら不思議!
この狐の着ぐるみだと現代の我々がやってもそう変わらないじゃないですか。
こんな妙なところで親近感が沸きました。ああ、妙な感想だったら(笑)
★坂東しうかの唐土姫・三代目尾上菊五郎の天竺冠者・五代目沢村宗十郎の斯波右衛門
がまがまがま!インパクトだけだけど、これはそれでもうOK!
★四代目坂東彦三郎の神田川の与吉
ポーズがばっちり。巨大な鯉をがっちりと抱える神田川の与吉。
水しぶきの描写もさることながらこの髪の毛のものすごく細いのが少しだけ出てるのが彫って出していることに驚きます。
第4章 美人画
★「流好御染物帳 柳葉御納戸」
緑のトーンが目に心地よい。
緑バックの桜の白抜きの表現も合っている。
★「絵兄弟やさすかた」鵺退治
鵺退治の絵に見立ててるけども、これは鰹節を加えたにゃんことこれを叱る女性と。
この嬉しそうなにゃんこの表情と、もう困っちゃうわねえという女性の表情がすばらしい。
★「駒形の朝霧」
シルエットの描写が見事。
グリーンとグレーで描かれる犬、空、鳥の影たち。
第5章 子ども絵
★子供大名行列
5枚つづき。太陽と富士山をバックに闊歩する子どもたちがなんとも清々しい。
第6章 風景画
★「東都三ツ股の図」
うわさのスカイツリーみたいのが描かれている。
火の見やぐらみたいのの横にその二倍くらいの高さで描かれているアンテナみたいな妙な建築。
答えが何なのか気になって仕方ありません。
★「相州江之嶋之図」
風景画なのですが、異様です。
茶色い何物かが画面にどーんと描かれています。
近づいて見てみると何やら小さなひとがいる。島だ、なんと江ノ島でした。
一見何か分からないというのはとても楽しいです。
第7章 摺物と動物画
★瓢箪に画帖(国芳・是真合筆)
なんとこの瓢箪が是真が描いてると知ってびっくり。
どうしても漆のイメージがありますがこの瓢箪は普通に緑で描かれててやはり他の国芳のものとは違うから見ててすぐに違うなあと。
★床の間の琴
摺物はやはり仕事が丁寧。上質クオリティは眼が喜びます。
役者のものが多かった中でこの床の間を描いたのは異色。
なんでもない家の中の景色をしっかりと描くからこそ輝く小品。飾りたいです。
第8章 戯画
★「きん魚づくし ぼんぼん」
これまで8図までが確認されていた「きん魚づくし」シリーズの9図目が新発見となりお披露目。
フォルムがなんともかわいい。
すっくとたつその姿、単体でなりたつのは既にキャラ立ちしてるってことですよね。
★「流行道外こまづくし はなれこま・しんぼうハおかね/ぶんふくちやごま」
正直、顔を将棋の駒にしちゃったのとかはいまひとつと思ってしまうのですが、この独楽で構成した馬はお見事!
とにかく妙なフォルムで脳裏に残りました。
★「おぼろ月猫の盛」
もう文句なし。擬人化にゃんこの真骨頂!
この表情がにゃんともかわいい。
これやっぱり吉原なんでしょうかね?
第9章 風俗・娯楽・情報
★「七浦大漁繁昌之図」
3枚続き。
鯨がなんともよい。そしてこの鯨に銛で挑んでいく船乗りたちが命がけなのにすっと気持ちのいい表情をしている。
波、そして画面にかかる松のラインも面白く呼応するかのよう。
結局、前期に1回と後期に2回行ったのですが飽きないです!っていうかもう1回行ってもいいくらい。
これだけの点数をまとめてみられるのはお得ではないでしょうか。
2/12まで。必見です!!
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