平塚市美術館での「小田薫の彫刻ー記憶の住処ー」に行ってきました。
なかなかタイミングが合わず最終日の今日、ぎりぎりで見てこれました。
よいなあと思ったのは観覧無料ということ。
ホールでの展示で特別展に入る手前のところで展示されていました。
小田さんの作品は鉄の彫刻です。
特に照明もなく広いホールのガラスにふりそそぐ外光のみでしたがこれがとても合っていました。
まず1階部分に足を踏み入れるとポスターなどのメインビジュアルで使用されている「トキノクラ」が鎮座していました。
下に向かって丸みを帯びてすぼんでいくフォルムはキュートなのだけどもこの鉄の持つ佇まいがもう少し厳格な方向へと総体を導いている。
2009年の作品なのだけどもっと古い歴史を刻んできているかのよう。
この他にも蔵をモチーフとした作品が数点並んでいたのですがいずれもに共通するのが扉の小ささ。
本来の蔵の目的は中にモノを収めること。
ところがこの小田作品の蔵たちは実体のあるものを収容するつもりはさらさら無さそう。
この展示のタイトルにあるような記憶だとか形のないものをそこに留めおくためのものなのだろう。
機能がぱっと思い浮かばない形ということもあって銅鐸っぽいなあとも。
そして、階段を上って2階へ。
待ち受けていたのは「うつせみ」。
同じシリーズのオブジェクトが3つ居並ぶ。
上方にはタワー。その下には火炎、もしくは炎を思わせる葉のようなフォルムが水平に。下を支えるのはフレームで構成された直方体の塊。ただし、床にむかってその数は減って床面に設置しているのはわずか3つ。(だったと思う。3つのオブジェクトすべてがそうだったかまで記憶してなかったので)
しかもこのフレームは下に向かっていってすぼんでいる。先の「トキノクラ」を想起した。
「通ひ道」のシリーズは着想がよいなあと。
3点並んでて何の形だろう?
キャプションには「給水タンク」から持ってきているとのこと。
新橋、大船、保土ヶ谷とあったのはそういうことか。
コンデンサやお重やらに見えて純粋にフォルムとして見てて楽しい。
さて、今回うれしかったのはちゃんとリストを作成していたこと。ただしキャプションの番号とリストの番号が違うものがあったのはちょっと残念。
このリストに掲載のなかった作品があった。
追加出品「ツナガルキオク」。
高い位置にある小屋が吊り橋で互いにつながってる。
関係性や立ち位置なんていうことが頭をよぎる。
「その先にあるもの」での階段、はしご、小屋(小屋なないものもあった)のぞれぞれが9つひょろっと独立している様とは少し異なる。パーツとしては近しいのだけれども。
「天ヲ目指ス」ではタワーについたアンテナがサボテンのとげみたくみえた。これが余計なものなのか必要あってそこにあるのか。どっちなのだろう。
美術館の空間でどうなるか気になっていたのですが存在としてしっかりと立っていました。
たぶんどういうところに出ていても空間に負けないチカラがあるのだと思います。
冒頭に書いたとおり本日で会期終了となりました。