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若冲と蕪村(サントリー美術館)

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サントリー美術館で開催中の「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」に行ってきました。

何度見てもやはりむむむと唸る。若冲の作品って何度でも間近で見たいと思うのです。


若冲のみの展示で見たのは、2012年の京都細見美術館展Part2 琳派・若冲と雅の世界(そごう美術館)以来。

久々の若冲、いやあ充たされました~。

と若冲ばかりに眼がいきつつも蕪村の作品もよいものが一堂に会していてこちらも眼福でした。

タイトルが同じものもあるので末尾に()でリストの番号を掲載しました。

気になった作品について書いてみますね。



○伊藤若冲「紫陽花白鶏図」(15)

白い鶏と紫陽花の白、それぞれのフォルムが呼応するかのよう。

紫陽花の形と面の彩色がかわいらしい。


○伊藤若冲「梅花図」(17)

スピードの感じられる筆遣い。

剛胆なぶっとい幹、流れる枝。この緩急が心地よい。

あと画面の間の取り方。上方は白が多く、下に絵が集中しているこの案配。


◇与謝蕪村「風虎図屏風」(26)

この虎の眼が三日月。

ただでさえ実物を見てないで描かれてる江戸時代の虎が更にキャラとして立ってくる。かわいい。


○伊藤若冲「雪中雄鶏図」(29)

これは初見でした。今回、一番注目して見ました。

岡田美術館の所蔵とのことでその状態の良さに驚きます。

濃いしっかりとした色乗り。

そして作品自体の輝きも半端ない。クチバシのすぐ先に構えた足先のポーズの決まり具合ったら!

ほぼ完璧と思わせる絵なおだけどそこはやっぱり若冲。

上の尾っぽの部分だけギザギザになってる箇所はあって、ああ流石だなあと。


◇与謝蕪村「維摩・龍・虎図」(50)

龍と虎の表情のユルさ。

たぶんちゃんと描けるはずだけどこういうところに落としてくる感覚、余裕ですよね。


○伊藤若冲 下絵「花鳥版画」(80)

6枚どれも好き。下絵だけ若冲なので嫌が応にもその線の上手さを感じます。

黒バックに緑やオレンジの映えること。素直にこれ壁に飾りたいって思いますもん。


◇与謝蕪村「若葉図」(94)

木々も萌え立つ様が水墨の黒でもくもくと描かれてる。

このもくもくが黒いのだけども生命感に満ち満ちているのが素晴らしい。

ボリューミーで妙に印象に残りました。


◇与謝蕪村「枯木叭々鳥図」(124)

隣に並ぶ、沈銓の「草花群禽(叭々鳥)図」に比べるとその差が明らか。

蕪村の描く叭々鳥の表情がひとっぽいこと。

見てて素直に気持が入ってく。対象の本質を見事に捉えているなあと。


○伊藤若冲「象と鯨図屏風」(222)

以前に千葉市美術館で見て以来の再会。

ガラスの向こうだけども作品が近く明るい照明でよく見えて嬉しい。

ぞうさんの右上の斜めに走ってる部分がモノトーンだけど色を感じました。

素直に見て、これすごい!楽しい!

もうこれで満足~。


◇与謝蕪村「山水図屏風」(202)

若冲のぞうさんを過ぎるとすぐ横に並ぶ蕪村の屏風。

かっこいい。

銀箔って経年劣化で酸化して黒ずんでくるのですが、これはとてもよいコンディションに保たれていて、銀がちゃんと照明の明かりを跳ね返しています。

蕪村の絵はゆるくてキャラ色の強いイメージがあるのですが、この屏風はまるで逆の印象。クールです。


○伊藤若冲「蔬菜図押絵貼屏風」(221)

これも何度見ても楽しくなります。

屏風の一枚一枚のひとつずつ野菜がでーんと書かれている。

フォルムの違うものが並ぶのでともすればデザイン的になっちゃいそうなところをあくまで絵として筆をふるってる。

解説に書かれていた、「胸の内の『奇』を描いた」という若冲自身の言葉を記した付属資料が伝わる というくだりが気になりました。

単に楽しんで描いたのではなく、そういった自覚を持って、他のものと異なるものとして認識しつつそれでも描いてみたいのだと。


◇与謝蕪村「蜀桟道図」(185)

大きい。

ゆるくないし表現としてストレート。このダイナミックな景色は説明不要。

ただただ絵の前でみじろぎせずにじっくりと見られる喜びよ。


○伊藤若冲「鶴図」(211)

若冲の水墨の鶴というとこれまでに見てたのでイメージが強いのはあのタマゴみたいなフォルム。

太い墨で一気に描いた線が印象に残ってたのだがこれは違う。

タマゴのようなラインはじっくりと丁寧に描かれている。

背景に見える梅と松は勢いのある筆致を感じるのでこの対照を計算して鶴をじっくりと描いたのかが気になるところ。

尤もこういうの本人は計算とかでなくなんとなく意識せずして感覚的にやっていそうだけども。どうなんだろう。


○伊藤若冲「六歌仙図」(217)

何故か六歌仙の面々が田楽豆腐を作ってる。

もうこういう着想でえいやっと描けるのが面白いなあと。

味噌をまぜる喜撰法師の持つへらがギターのネックに見えてしまったw


一巡してもう一回見直して大満足の時間でした。

必見です!


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